歯周病と定期検診


 歯周病は、細菌により炎症が引き起こされ、その結果、歯を支えている組織(歯槽骨や歯根膜等)が破壊される病気です。原因菌によって起こるという意味では感染症のひとつです。一方、同じ菌をもっていても発症する人としない人がいます。歯周病は、いくつかの条件がそろって初めて発症するのです。
 まず第一に、歯周病の原因菌は嫌気性菌(酸素が少ない条件下を好む菌)に属しますから、ポケット(歯と歯ぐきの間の深くなった溝)の奥で、しかもその上に細菌や汚れなどが堆積した状態を好みます。つまり、古い歯垢が歯周病の原因となります。一方、1、2日ブラッシングがおろそかになったからといってすぐに発症するものではありません。
 次に、原因菌がある程度増殖しても、歯ぐきの抵抗力があれば炎症は内部まで及びません。抵抗力が低下した時に一気に炎症が起こり、また進行します。
以上のような悪条件がそろわなければ歯周病は起こりませんし、悪化することもありません。

 具体的には、
* 古い歯垢をつくらない
歯垢は時間がたつほど、そして堆積するほど内部が嫌気的な状態になります。睡眠時など、唾液の分泌が低下すると歯垢の形成が進みますから、少なくとも夕食後のブラッシングは徹底すべきでしょう。唾液の役割はとても重要です。唾液の分泌が低下したり、性状が粘つくようになると、むし歯や歯周病は急速に進行しやすくなります。現代はストレス社会といわれ、交感神経の緊張状態が持続しやすい傾向にあります。唾液の分泌も他の消化器官の働き同様、交感神経が緊張すると低下します。ストレスを減らすよう努めることが肝心です。
 また、常時歯垢を形成するようなだらだらした食習慣は改善しましょう。口に中に何もない状態を作るということも大切です。同様の理由で、咀嚼を伴わない食物摂取(極端に柔らかい食品や液状の食品)は歯垢が形成されやすいので注意しましょう。
 
* 深いポケットをつくらない
歯と歯ぐきの間の溝にブラシの毛先が入るのは2、3mmが限度で、よほど上手でない限り、4mm以上は入りません。つまり、これ以上深い病的な溝-ポケットをつくると、歯垢を除去することが極端に難しくなります。こうならないようにするには、正しいブラッシングと定期的(問題がない場合でも半年から1年に1回程度)なチェックが大切です。深いポケットがある場合には、より短い間隔のチェックとポケット内の洗浄が必要です。

* 歯ぐきの抵抗力を高める
糖尿病や肝臓病、腎臓病、高血圧等の全身疾患があると、歯ぐきのみならず全身の組織の抵抗力が低下します。そのため、細菌の感染を容易にし、また感染による炎症の進行を速めます。もうひとつ、喫煙による歯周病の悪化が注目されています。ニコチンの作用で毛細血管がふさがりやすくなり、歯ぐきのすみずみまで血液が循環しなくなり、その結果歯周病の進行が速まります。 もちろん、歯ぐきの抵抗力に問題がなくても、ポケット内の原因菌の絶対数が多ければ、やはり炎症は当然進行する恐れがあります。


 いずれにしても、進行した歯周病を治すことは、現在の歯科医学ではかなり難しいことといえます。歯周病は何より予防が重要です。そして歯周病がある場合には、定期的なチェックを行い、進行を食い止めることが大切です。現在歯周病がある場合、落胆したりあきらめることはありません。

 これを機会に生活全般を見直し、それにより健康管理ができれば、新たな生活習慣病から自分自身を守ることができます。
文字どおり、「一病息災」ですね。
02.03

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