糖尿病と歯周疾患


 喫煙や高血圧と並び、糖尿病は歯周疾患(歯周病)の進行に密接なかかわりがあることがわかっています。ちなみに、糖尿病患者の歯周病罹患率は60%以上であると報告されています。
 まず糖尿病についてですが、大きくわけてインスリン依存型(いわゆるT型糖尿病)と非インスリン依存型(いわゆるU型糖尿病)に分類されます。
 T型は、血糖値を下げる働きをするホルモンであるインスリンそのもの分泌が低下、欠乏している状態で、糖尿病全体の約1割にあたります。
 一方U型は、インスリンの分泌には問題がないものの、組織がその作用に対し抵抗性を持ってしまった状態、つまりインスリンが効かなくなってしまった状態で、糖尿病全体の約9割を占めます。どちらのタイプも、血糖値のコントロールが不十分だと、感染しやすい状態を作りますから、慢性の合併症である目の網膜症、腎臓の疾患、神経障害などを起こしやすくなります。歯周病も細菌による感染症ですから、当然悪化する可能性があります。そして、炎症が起こるとサイトカインと呼ばれる炎症性物質が分泌されますが、これが今度はインスリンの作用を阻害し、血糖値を押し上げるという悪循環をうみます。そのため、糖尿病患者が歯周病になると、加速度的に病状が悪化し、短期間のうちに歯を失うというケースも決して珍しくありません。ですから、糖尿病の場合には、まず食事療法、運動療法、薬物療法といった、糖尿病の基本的治療を行うことがまず前提となります。そしてそれと並行して、歯周病の治療とブラッシングによる日常の管理を徹底させることが重要です。
 また、食生活が原因で糖尿病になった場合、たとえば甘い物の嗜好といった同じ原因で歯周病になっていることも考えられますから、このへんから見直すことも大切かもしれません。
 いずれにしても、血糖値がコントロールされていれば、一般的な歯周病の治療で対処できます。そして、日頃から口の中を清潔な状態に保っておくことが何より大事なことです。
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