たかが歯ブラシ、されど歯ブラシ


 口腔の健康を保つために、歯ブラシが必需品であることは今や常識となっています。「孤島に身の周りの道具をひとつだけ持っていくとしたら、何を持っていくか?」という質問に「歯ブラシ」と答える欧米人は決して少なくないといいます。皆さんは何を持っていきますか?さて、当医院では、大方の皆さんにほぼ同一種類の歯ブラシをお勧めしています。
その根拠は、
1. 毛先が軟らかいこと
歯ぐきを傷つけにくい、先がねじれて隙間に入りやすい

2. 毛先が細くなっていること
ポケット内部等、狭い所に届きやすい

3. 気先がしなやかなこと
1.2.と同じ理由
4. 植毛部が比較的小さいこと
口の中で動かしやすい、奥まで入れやすい、
等です。

 以上の条件に該当する歯ブラシなら、当医院でお勧めするものに限らず、御自分でドラッグストア等で探してみるのもよいと思います。基本的には子どもさんも同じ基準のものでよいと思います。10年程前までは、「硬め」か「普通」という硬さのの歯ブラシが主流でしたが、最近はどちらかというと「軟らかめ」のブラシが中心になってきています。ちなみに硬めの歯ブラシは、その先端よりも腹の部分(横)を使うブラッシング法向きです。ただ、長年硬めのブラシを使用してきた方の中には、軟らかめのブラシになかなか馴染めない方も少なくありません。*磨いた気がしない(達成感がない刺激が物足りない、磨けたかどうか不安)というのが最大の理由です。たしかに、フライパンについた焦げなどの固まりをとる時は、クレンザーをつけた硬いたわし等で強くこすったほうがきれいになります。歯でいうと、この「焦げ」は歯石にあたります。しかし歯石は、歯ブラシで除去することはほとんど不可能です。これを除去するには金属製の器具が必要です。歯ブラシの主な目的は歯垢の除去です。(つまり歯石になる前の段階でくい止めることです)歯垢のつきやすい場所に届きしかも歯肉を傷つけないこと---これが歯ブラシとブラッシングの条件です。硬い歯ブラシに研磨剤入りの歯磨き剤をたっぷりつけてしかも大きなストロークで力まかせにブラッシングしていると、短期間のうちに歯の根元の部分がくさび状に削れてしまいます。反面、その割には歯垢はとれないものです。歯垢の除去にそれほどの力は必要ありません。
歯垢が残りやすいのは、
*歯の噛み合わせの溝の中
*歯と歯の間の奥まった部分
*歯と歯ぐきの境目
*一番奥の歯、位置のずれた歯の後ろ側 です。
この部分に毛先を届かせるためには、先の条件を満たす歯ブラシを小刻みに動かすことが必要です(もちろん当てる方向も大切です)。小刻みに動かすと、動きが反対方向に変わった瞬間に毛先がねじれます。このねじれた時に狭い部分に毛先が届きます。この動きを少しずつずらしていけば口の中全体の狭い部分に毛先が届きます。腕全体を使ってブラシを細かく動かすことは難しく、動きに無駄が多すぎます。丁寧にしっかりブラッシングするためには前腕(ひじから先の部分)だけを使うほうが効果的です。ひじをテーブルについたり、もう一方の手でひじを支えるようにしてブラッシングすると毛先に力が入り過ぎず細かい動きが容易になり、また疲れが軽減されるため長時間のブラッシングが億劫でなくなります。
 皆さんの口に中の状態はそれぞれ異なりますから、できれば歯科衛生士のブラッシング指導を受けることをお勧めします。当医院では、全体のチェックを希望される方には、必要な場合、ブラッシング指導を行っていますが、特に御本人が指導を希望される場合には、スタッフにその旨、お伝えください。時間をとっていただければ、喜んで指導いたします。
 なお、ブラッシング指導は保険の適用になります。
このページを閉じる

Copyright 2004 Aoba Dental Clinic All Rights Reserved.