新型インフルエンザとむし歯

09年6月



 青葉かおる季節に、今年も保育園の歯科検診を行いました。
 今年は、メキシコから始まった新型インフルエンザの国内での感染のニュースが飛び交う中での検診となりました。
 この感染は10代後半の高校生の感染率が高いのが特徴で、その点では冬に流行するインフルエンザと少し傾向が違うのかなと思われます。
 ただいえるのは、普通のインフルエンザ同様、健康状態が良好であれば感染する確率は低くなります。
 同じことはむし歯にも当てはまります。
 生活習慣、とくに食生活がきちんとしていれば、おやつに甘いお菓子を食べても、そう簡単にむし歯にはなりません。
 早寝早起き、きちんと朝食を摂るといった基本的な生活が大切なのです。
 食生活の乱れ、特にのべつまくなしにお菓子を食べていればむし歯ができるだろうということは容易に想像がつきます。
 これは、唾液の緩衝能(かんしょうのう=中和する機能)と深い関係があります。
 甘いものを食べると、いや甘くなくても糖分(炭水化物)が口の中に入り、これが細菌に分解されると、歯垢(プラーク)のpHが下がる、つまり酸性になります。
 この酸により歯が溶かされたものがむし歯です。
 普通はこの酸は唾液の緩衝能によりすぐに中和され、また、唾液中に十分存在するカルシウムが歯の表面に取り込まれ、むし歯にはなりません。
 ところがこの緩衝能が追いつかないくらい糖分が長い時間口の中に入ってくると、この酸により歯が溶け出し、むし歯ができてしまうのです。
 また一方でこの緩衝能には個人差もありますが、唾液の分泌は自律神経によってコントロールされていますので、緩衝能はこの自律神経の状態によって左右されます。
 自律神経には、交感神経と副交感神経があり、おおざっぱにいうと、交感神経は全神経、体力を集中させるときに働き、副交感神経はエネルギーを貯蓄するときに働きます。
 興奮状態や睡眠不足、精神的不安等が続くと、交感神経の作用により、唾液はねっとりし、緩衝能や消化機能、そして口の中を清潔に保つ機能が低下してしまうのです。
 逆にゆったりとくつろいでいるときは、副交感神経の作用により、さらっとした十分な量の唾液が分泌されますから、酸は中和され、消化機能や清掃機能も高まります。
 生活が乱れたり、心身ともに無理が続くと、交感神経が働きすぎてしまい、緩衝能をはじめとする唾液の有効な機能が低下してしまうのです。
 もちろん、副交感神経ばかりが働けばいいというものではなく、要はバランスなのです。
 この意味からも、規則正しい楽しい時間を過ごすことは、むし歯予防だけでなく、全身の健康を保つためにも大切な心がけなのです。
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