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疾患には、急性疾患と慢性疾患があります。
急性疾患は、多くの場合一つの原因で起こり、発症までが短時間で比較的診断しやすく、原因を取り除くことで一般的に治癒しやすい傾向があります。
一方慢性疾患は、複数の原因で引き起こされることが多く、初期にははっきりした症状がなく徐々に進行し、症状が現れたときにはかなり重症化している場合が多いといった特徴があります。ちなみに、私たちが治療の対象とする歯周病には、前者の場合と後者の場合があります。
慢性の歯周炎が、ご本人の努力と定期的な管理でほぼ治癒することもあります。一方、一旦治癒しても何かの原因で再発することもありますので、油断は禁物です。
さて、慢性疾患のうち、「好ましくない生活習慣」が原因で起こるものを生活習慣病といいます。ちなみに生活習慣病に関わる医療費は、国民医療費全体のほぼ3割を占めているそうです。
今回は、この生活習慣病に焦点を絞って考えていきたいと思います。
さて、「好ましくない生活習慣」とは、例えば不規則な食生活、栄養的に偏った食生活、運動不足、睡眠不足、ストレス、喫煙、多量の飲酒などを指します。
これらの習慣が続くと、糖尿病、高血圧症、脳血管疾患、脂質異常症、高尿酸血症(痛風)、慢性気管支炎、肝硬変、脂肪肝などの慢性疾患を引き起こす原因となります。
ですからこれらの生活習慣を改めましょう・・・と言えばその通りですが、それがなかなかできないのが人間です。それができれば、すでに慢性疾患を克服したといってもいいでしょう。
まずは、完璧を目指さずできることを継続しましょう。
実は私自身、しばらく検査をしていませんでしたが(お恥ずかしい話ですが、検査と注射が苦手なのです)、昨年の春たまたま生保の関係で血圧を測定する機会がありました。
それまでずっと、自身の収縮期血圧(最高血圧)は120mmHgから130mmHgだと思い込んでいたのですが、当日の検査ではなんと160mmHgだったので驚きました。そんなはずはない、たまたまだろうと何度も測定し直しましたが、結果150mmHgから160mmHgの間で、立派な高血圧でした。血圧に自信を持っていただけに、これはかなりショックでした。
でも、冷静になって考えてみると、この血圧検査をしなければ、高血圧という問題に気づかなかったわけです。私に気づきを与えてくれたこの検査結果に感謝しなくてはなりません。
では、高血圧の原因はなんだったのか。
思い当たることがいくつかありました。
まず、ワインをほとんど毎晩飲んでいますが、これは量の加減はできるものの、止めることはできません。大きな楽しみがなくなってしまうからです(健康を指導する立場としては説得力に欠けますね)。
次に、診療中頻繁にトイレに行くのが嫌で、食事以外ほとんど水分を摂っていませんでした。
そこで、水分摂取したくなくてもそれを習慣化するように、ペットボトルのお茶を診療室に置いて、一口ずつでも飲むようにしました。
さらに、日常的に塩分を摂りすぎているようには思いませんが、味噌汁をスープに替えたり、漬物を少し控えたりしました。
また、GI値(食品が体内で糖に変わり血糖値が上昇する速さを示す指標)を上げないように、炭水化物の前に野菜、タンパク質を食べるように心がけました。
その結果半年経った最近では、収縮期血圧は120から130台までに収まるようになりました。ちなみに拡張期血圧(最低血圧)は80から90に収まっています。何より、時間があれば意識的に血圧測定をするようになったことが、習慣化として大きなファクターだと思っています。
この状態が維持できれば、70歳代としてはまずまずではないかと思っています。
健康維持のために、好きなことを全て諦めることは私には到底できませんし、それでは何のための人生かわからなくなってしまいます。
好きなことを諦めずに、同時に矩(のり:ある一線)を越えずに、人生の楽しみ味わいながら毎日を送っていきたいと思う今日この頃です。
身体に悪いことは一つだけにする(自身の正当化ですね)・・・というのも、生き方の一つかもしれません。
そして自身の傾向、つまり油断するとどうなりやすいかを意識しておくことも大切だと思います。
別の見方をすれば、検査の数値が全て正常範囲だと自身の傾向、つまり何に気をつけるべきかがわかりません。血圧検査をする前の私がよい例です。
一方で、慢性疾患は完治しにくいのも事実です。もちろん完治する場合もあるし、完治しなくても軽症化や進行を止めることもできます。
「一病息災」の考えで、ポジティブに捉えて生きていきましょう。
「一病息災」とは、無病で健康な人よりも、何らかの病気を持つ人のほうが、その病気ゆえに自身の健康に注意することで、結果として長生きするという考え方です。
病気と上手に付き合っていく、明日はいいことがあるかな、いい出会いがあるかなと、ケ・セラ・セラ(どうにかなる)で生きていけると心も元気になりそうです。
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