バラとウサギ

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 昨年の秋、学校の飼育係をしていたうちの娘(当時小学6年生)が、何を思ったか、学校で飼っていたウサギを1匹抱いて帰ってきました。
 学校のウサギが増え過ぎたので、家で飼える人はもらってほしいということになったようです。
 まだ生後2、3か月の三毛猫のようなかわいいウサギでした。
 当初、家では飼えないからと反対したのですが、2、3日おいておくうちに情が移るといいましょうか、いなくなったら寂しいという気持ちになり、とうとう飼うことにしました。
 庭で猫に襲われてはかわいそうということで、ベランダでほとんど放し飼いの状態で飼い始めました。
 ちなみに我が家のベランダはかなり広い方で、そこで私がバラや多くの植物を育てています。
 以前どなたかに、ウサギの糞がキャベツの肥料に向いているという話を聞いたことがあり、私としてはバラの肥料にもきっとなるはずだと、その恩恵を密かに期待していました。
 翌朝ベランダを覗いてみて、あまりの予想外の状況に唖然としました。
 バラの枝という枝がことごとく切断されているではありませんか。
 あのとげだらけの枝をウサギが食いちぎるとは思ってもいませんでした。
 しかも現行犯の犯人はそれを実においしそうに咀嚼しているのです。
 ウサギの糞をバラの肥料にしようという計画は、糞の所有者に本来の目的であるバラを食われて、その糞の使用目的がなくなるという笑うに笑えない顛末となり、頓挫したかに思えました。
 ところが、ウサギに枝を食われたのが昨年の秋から冬にかけてというのがミソなのです。
 もちろん、小さい株のバラのなかには、ウサギが原因で枯れたものもありましたが、かえって新しいシュート(根元から出る新芽)が促進され、立派な花をつけたものも多かったのです。根元から食いちぎられたホップもかわいい芽を出しました。

バラらしいバラ

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バラといって皆さんがイメージするのはどんなバラでしょう。
 『バラの包みの高島屋』というコマーシャルがありますが、あの包みのバラの絵柄、思い出せますか?
 深紅で花びらの先がちょっと尖った奥行きのある満開前のバラ、このイメージを持つ方が圧倒的に多いのではないでしょうか。
 日本人のバラのイメージはそのようです。
 イギリス人が憧れるバラもこのバラのようです。
 イギリスではこの手のバラが栽培しにくいというのがその理由だとか。
 あの形を高芯剣弁咲きといいます。
 その他、花びらが丸い丸弁咲き、ティーカップのようなカップ咲き、花びらの中心がいくつもあるクォーター咲き、花びらが多く、中心から外側に向かってさざ波のように広がっているロゼット咲き等、とにかくバラのイメージからほど遠いものもあります。
 かえって野バラのように一重に近いものはバラには見えないかもしれませんね。
 さて、あなたはどんなバラが好みですか?
 バラ占いができそうですね。

バラはむずかしい!?

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  よく言われますね。
でも、バラの栽培は他の植物の場合と比べて特に難しいということはありませんし、見た目より結構強い植物です。
バラの特徴さえ少し知れば、意外に簡単に楽しむことができます。

特徴その1 「バラは食いしん坊である」
 あれほど大きく美しい花を半年以上にわたって咲き続けるように改良された品種がほとんどです。(オールドローズなどのように1回咲きのものもありますが)
 そのための消費エネルギーは多くて当然かもしれません。
 冬のうちに春に備えての寒肥、花後のお礼肥等、年に4、5回は必要ですし、その間液肥も随時施します。鉢植えの場合には自然のサイクルが働きにくいので特に重要です。もちろん、肥料を施さなかったからといってすぐに枯れてしまうわけではありませんが、花が小さくなったり、咲かなくなることもあります。

特徴その2 「鉢植えでは2年に1回は植え替えが必要である」
 同じ理由から、土という養分の貯蔵体積の小さな鉢の場合、たとえ施肥をしてもそれ以外の栄養素が減ったり、土が硬くなる、空気が不足する、といった問題が起こります。
 そのため、土の交換、つまり植え替えが必要になりますが、この適期は最高気温7℃以下の真冬です。寒中に、鉢の土を全て洗い落としてから、新しい土に植え替えます。ちょっと辛い作業ですが、これをすると春に咲く花の見事さが格段に違ってきます。
 大きな鉢の場合、私は植え替えずに土を半分ほど入れ替えるという妥協策をしています。
 真冬以外にやむをえず鉢を替える場合は、根鉢を崩さずに行うことが大切です。

特徴その3 「バラには虫がつきやすい、病気になりやすい」
 これは事実です。
 アブラムシ、ヨトウムシ、葉ジラミ、コガネムシ、黒星病、うどん粉病、根頭癌腫病等、虫や病気と縁が深い植物です。
 しかも、ゴマダラカミキリの幼虫に芯を食われたらもうアウトです。
 予防的に消毒をするというのも有効ですが、植える場所、鉢の置き場所を考えるだけでもずいぶん予防できます。
 日光が5、6時間以上当たる、風通しのよい、西日の当たらない、しかも雨が当たらない場所なら理想的です。
 鉢なら軒下とかに移動できますが、地植えではそうはいきません。
 雨に当たるのが問題なのは、地面からのはね返った水分から黒星病の菌が感染するからです。
 一般的には、バラの周囲の地面にバークやチップを敷き詰めてはね返りを防ぐという方法をとります。
 
特徴その4 「剪定がむずかしい」
 大きな原則だけ知っていれば特にむずかしくはありません。
 5枚葉のついた枝のすぐ上を切るのが基本です。
 また、バラには「頂芽優先」という特徴があります。
 一番上の芽に最も栄養分が運ばれるという原則です。
 ですから、1本だけ高く枝を伸ばしてしまうと、その先にしか、いい花が咲きません。
 また、バラの茎や枝は水道管と同じで、太い枝ほど栄養分が多くいきわたります。
 花数を少なくして、大きな花を咲かせようとする場合は幹の本数を減らし、花数を多くしたい場合は本数を多くします。
 最後に、バラの太い幹は、3年ほどすると木本化して老化します。老化した幹からは元気な枝が出にくくなりますから、3年ほどで更新(元から切って、新しい幹を出させること)するほうが、いつまでも元気なバラを楽しめます。

バラの季節

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 5月から7月上旬はバラの季節です(意外にも11月もバラの季節です)。
 今年は2月3月が暖かかったせいか、4月下旬から1番花が咲き始めました。
(ちなみに四季咲きのバラでは、年に4、5回咲かせることができます)
 私はバラが好きで、自宅の庭、医院の玄関前だけでは飽き足らず、なんとベランダにも20株ほど鉢植えで育てています。
 なかには、直径60cmの鉢に植えられているものもあり、自宅を作った住宅メーカーの方から、「いくら鉄骨といっても限度がありますから、これ以上鉢を増やさないように」と、厳重注意を受けています。
 青葉歯科に来院された方はご存じかと思いますが、駐車場のフェンスには5種類のバラが這っています。
 ちょっと小振りで陽気なカクテル(中心が黄色で縁が赤)、わずかに黄色みを帯びた白で清楚なイメージのアイスバーグ(別名:シュネービッチェン)、ピンクで大輪のマリア・カラス、ゴールデンウィークの頃、その名の通り金色に輝く小さな房状のモッコウバラ(漢字では木香薔薇)、それに名前の分からない橙色の薔薇。
 競うように咲いては散って、それはそれは楽しい季節です。
 咲いているバラを愛でるのも楽しいのですが、満開になる前のバラを一輪差しにして待合室の隅にそっと飾るのも楽しいし、また、満開のバラをバラ用のポットに4、5輪浮かべておくのもまた豪華で楽しいものです。できれば香りの強いものを使えば、一日中、待合室にちょっと豪華なくつろぎの気分を演出してくれます。
 私は、ダブル・ディライトという果物のような芳香をもったバラをこれに使います。