このブログで診療のお話をすることは初めてかもしれません。
今年1月、念願のVELscopeをついに診療に導入することができました。
これは、アメリカで開発された口腔内のがん組織をスクリーニングする検査・診断システムです。
(ウィキペディア http://ja.wikipedia.org/wiki/VELscope)
口腔粘膜に特定の波長の光を当てると、健康な組織は蛍光発光し青緑色に、がん組織や前がん組織は蛍光発光せず暗色に見えるという性質を利用した検査診断システムです。患者さんには、全く苦痛を与えずに検査できます。
実は数年前、絶対にがんではないだろうと思っていた患者さんが、大学病院の口腔外科での生検の結果、前がん病変だったという、歯科医としてショックな体験をしました。
最も口の中をみる機会の多い歯科医が、口腔のがんを見つけられなかったら歯科医の意味がないではないかと、思うようになりました。
説得力ある根拠なしに安易に大丈夫とも言えない一方で、炎症や明らかに良性の腫瘍までがんを疑っていては、これまた患者さんに無用な心配をさせるだけです。
2年ほど前、テレビでこのVELscopeを取り上げた番組を見て、どうしても欲しくなりました。しかし、このシステムは日本では厚生労働省の薬事法の認可を受けていないので(2011年現在)、国内で購入することはできません。
そこでインターネットで探した医療機材の輸入業者を通じて、アメリカから直接購入しました。
正月早々荷物が届いたときは夢のような気分でした。
使い方は簡単なのですが、VELscopeを通して見た視覚的な識別にある程度の知識が必要で、付属のDVDと辞書を片手に数時間格闘、大まかな理解はできましたが、自分の英語力なさを改めて痛感しました。
いずれにしても、このシステム導入が患者さんのお役に立てれば幸甚です。
師走のCDコンサート2011
12/4(日)、14:00から 恒例の「師走のCDコンサート」を開きました。
師走にしては暖かく、木漏れ日(枝漏れ日?)のもと、7名のご参加を得て、話に花を咲かせながら、わいわい楽しい時間を共有しました。
今回は、声の透明感と正確なピッチを皆さんにお聴きいただこうと思って、森麻季を取り上げました。
そして、昨年感動ものだったキーシンもまた映像でご覧いただきました。
当日のプログラムは以下の通りです(多少の変更あり)。
•森 麻季
1. アヴェ・マリア (サン=サーンス)
2. アヴェ・マリア (バッハ/グノー)
3. アヴェ・マリア (服部隆之)
4. アヴェ・ヴェルム・コルプス
5. アヴェ・マリア (カッチーニ)
6. サルヴェ・レジーナ (ペルゴレージ)
7. アヴェ・マリア (ケルビーニ)
8. 教会のアリア
9. アヴェ・マリア (アルカデルト)
10. サルヴェ・レジーナ (クルデーリ)
11. 主のみ前に心を静め(オラトリオ<エリア>より)
12. マリアの子守歌
13. アヴェ・マリア (トスティ)
14. アヴェ・マリア (シューベルト)
15. アヴェ・マリア (マスカーニ)
16. Stand Alone
•星は光りぬ(聴き比べ)
(プッチーニ)
17.ホセ・カレーラス
18.プラシド・ドミンゴ
19.P.パヴァロッティ
•ギル•シャハム(Vn)
バッハ
無伴奏バイオリンパルティータ No.3 BWV1006
無伴奏バイオリンソナタ No.2 BWV1003から
無伴奏バイオリンパルティータ No.2 BWV1004
on BS
ショパン バラード1番(聴き比べ)
1)クリスチャン・ツィマーマン(P)
2)エフゲニー・キーシン(P)
Kissin plays Chopin on U-tube
(ちなみに、記念のCDのラベルは凮月堂のクッキーの缶のデザインを拝借しました)
11月の「ご意見ポスト」から
-ご意見-
「いつもありがとうございます。
「記録を書きます」とか、今何で待たされているとか、状況が常にわかることが安心につながります。心地よいいい気持ちで診療を受けられています。」
-回答-
「貴重なご意見、ありがとうございます。
理由がわからないまま待たされるのは、とても不安で不愉快ですよね。
スタッフも、役に立つコメントを書こうと一生懸命なのですが、時にそのことに集中しすぎて、周りが見えなくなっているのかもしれません。
ご意見を糧に、対応を徹底したいと思います。」
座椅子
これまで皆さんに言い忘れていた私の趣味がもうひとつありました。
日曜大工です。
作業台から始まり、ドリルドライバー、電動丸ノコ、ジグソー、その他かんな類、ヤスリ等諸々の手作業の道具がそろっています。
これまでに作ったもので、診療室と自宅で立派に実用品として役に立っているものは10数種類になります。
市販では手に入れることのできない、その場にぴったり合った特注サイズの棚が最も多いのですが、変わったものとしては、タオル掛けを兼ねたオイルヒーターのためのハンガー(?!)などというのもあります。
さて、今回ご紹介するのは、この夏に作ったフローリング用の座椅子です。
実は2作目です。
一般的な座椅子は、背もたれが傾斜していて座面が平らなものがほとんどです。
これに長時間座っていると、お尻の位置が次第に前にずれ気味になり、いきおい背中が丸くなり、姿勢が悪くなるとともに疲れます。
そのためこの春、まず座面を後方に向かってわずかに傾斜させた1号機を製作しました。実際に座ってみると、まだ傾斜が不十分で納得できませんでした。
ちなみにこの1号機は現在、長女の部屋でそれなりに使われています。
捲土重来で製作したのが写真の2号機です。
座面をさらに傾斜させ、それに合わせて背もたれも後方に傾斜させました。
普段は右の写真のように、クッションを置いて使っています。
色合いもなかなかだと自負しています。
手前味噌ですが、音楽を聴く時、テレビを見る時の座り心地は最高です。
紅葉(軽井沢)
お気に入りワイン
昨年同様、今年の夏も猛暑日が続きました。
ただ今年の場合、使用電力制限のためか、エアコンの設定温度を高めにして日本中がずいぶん暑さを我慢しました。熱中症になった方も例年になく多かったようです。
なのに小学校の運動会は、秋の行事が立て込んでいるせいか、年々早まっているように思えます。かつては、10月にはいってキンモクセイの香りがする頃だったように記憶しています。
是非、熱中症対策として改善してほしいものです。
さて、赤ワイン好きの私は、暑い夏だけはぐっと冷やした白ワインを常飲していました。
夏日から解放されると、やはり暖かいコーヒーと赤ワインがおいしくなります。
左の写真は、以前ご紹介した レーベンスウッドのジンファンデルです。
行きつけのレストランで愛飲しているのは、そのうちのソノマカウンティというラベルです(写真のジンファンデルは ナパバレーというラベル。ワインセラーから出したばかりなので水滴がついています)。
初めてこのワインを口にした時、カリフォルニアのワインでもこれほど深い香りと味わいのワインがあるのかと驚きました(カリフォルニアには失礼)。
それ以来、今でも私にとって赤ワインのスタンダードとなっています。
さて、右の写真は、最近気に入っているイタリアワイン トゥア・リータ ロッソ・デイ・ノートリ です。
別のお店でいくつか試飲したところ、香りが素晴らしく、即ボトルで注文しました。
ラベルもご覧の通り、見て楽しめます。
何より、香りを嗅いでいるだけで幸せになるワインです。
後ほど調べたら、例の「神の雫」でも取り上げたワインとか。
私の目に狂いはなかった(笑)。
今回ご紹介したものは、香り重視のワイン好きなら絶対に気に入るはずです。
コーヒーカップのお話
今、台風12号の影響で、断続的に大雨が降り続いています。
医院前の用水路の水面は、いまにも橋桁に届きそうです。
さて、実は私、コーヒーカップを集めていたんです。
過去形ですが、大学時代から、つい2、3年前までです。
今はどうかというと、カップボードにも入りきらない数になったので、触手を出さないよう努めています。
カップボードとか本棚って、空間的に少し余裕があるほうが品がいいんですよね。あまりごちゃごちゃしていると、インテリアというより倉庫のようになって、並んでいる物達も気持ち良さそうには見えません。
今回はその中の2点をご紹介します。
ひとつは左側の白地に青のストライプのもの。
これは20年ほど前に購入したノリタケのカップです。
当時、AGFから「珈琲交響曲」という コーヒーにまつわるエピソード等を紹介したハードカバーの写真集(全4巻)が発刊され、そこに掲載されていたこのカップの写真を見た私は一目で気に入り、早速購入しました。
このカップ、珍しく高台がありません。そしてカップ全体に釉薬が塗られ、ざらっとした部分が全くないのです(洋食器に場合、たいてい高台の下がざらっとしています)。どうやって焼いたのか、不思議です。
色合いと形が素晴らしく、私の好きなモーツァルトの音楽を連想させます。
もうひとつが右の黒塗りで中が金色のデミタスカップ。
これも日本の大倉陶園製です。15年ほど前、東京で開かれたスタッフの結婚式のあと、帰りの列車待ちの間にデパートで購入したものです。
図柄はありませんが、どうです、日本の美を感じませんか?
凛とした佇まいが好きで、時々カップボードの中を覗いて楽しんでいます。
海外のカップにも素晴らしいものがたくさんありますが、私は、最近の日本のカップには形、図柄、そして薄さどれをとっても超一級品が多いな、とうれしく思います。
でも、これ以上は購入は控えようと、所有欲に封印をしています。
我が家のグリーンカーテン
ラ・マルセイエーズ
5月はいろいろ立て込んでいて、恒例のバラの話題が今ごろになってしまいました。
1、2月に挿し木にしたバラが、成功率10%以上で活着し、いま6本ほど新芽やつぼみをつけています。
上手な方にとっては低い成功率ですが、最近の私にしてみれば飛躍的な上達です。挿し穂の切り方を工夫し、ルートンやネメデールといった発根促進の薬剤も使いました。
苦労しただけに、喜びはひとしおです。
さて、写真のバラはフランスで作られた品種「ラ・マルセイエーズ」、深紅の花弁のしっかりしたいわゆる高芯剣弁咲きで、香りは弱いもののきれいな形が長続きするのが特徴です。
この花の色に、私は曰くを感じます。
花の名前は、あのフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」に由来するものだと考えられます。
もともとマルセイユの軍隊の歌だったようですが、内容はこうです。
『祖国の子どもたちよ、栄光の日がやってきた! 我らに向かって、暴君の血塗られた軍旗がかかげられた どう猛な兵士たちが、野原でうごめいているのが聞こえるか? 子どもや妻たちの首をかっ切るために、 やつらは我々の元へやってきているのだ! 武器をとれ、市民たちよ 自らの軍を組織せよ 前進しよう、前進しよう! 我らの田畑に、汚れた血を飲み込ませてやるために!』
どうです、深紅の色が敵の血の色を表しているとは考えられませんか。(写真は5月上旬に撮影)
2011年3月〜4月のご意見ポストから
-ご意見1-
「診療室、待合室の環境整備にも気配りを感じます。今後ともよろしくお願いします。 3/5」
-回答-
意外なところにご評価いただき、恐縮しています。
院長が緑が好きなもので、ややもすると鬱蒼(うっそう)としてしまって、はたして医療機関にふさわしい環境なのだろうかと、時々自問しています。
資料等は独断ではあるものの、偏見をできるだけ入れないようにして配置しています。
今後とも、ご意見よろしくお願いいたします。
-ご意見2-
「『いじめられている君へ いじめている君へ』の記事を心して読ませていただき、心にひびきました。
来院する度に何度も読ませていただき、孫達にも折りを見て伝えたいと思います。
また勉強になる記事がありましたら教えて下さい。
ありがとうございました。」
-回答-
玄関に張り出してあるあの記事は、いじめが社会問題化した当時、朝日新聞の連載記事の一部を写したものです。
残念ながら、いじめのタネはだれの心の中にも多かれ少なかれ存在するものだと思います。
自分の心の何を解決すれば、いじめやその気持ちが無くなるのか、皆で考えなくてはならないのでしょうね。
人間は生きていく上で様々な試練に遭遇しますが、周囲も決して無関心であってはならない、人間は独りでは生きていけない、今度の震災でまた改めて得た教訓だと思います。